通り雨の過ぎた後


余計なものばかりが目に映る
幸せな人の顔や片隅のゴミとか
ここは時間が止まり人の流れなどなく とても静か
薄いガラスを隔て触れることもできないでいる 遠い夢
雨の音

通り雨の過ぎた後 こんなに鮮やかな街で
あなたのこと好きだったことを 今更感じた
通り雨の過ぎた後 静かに動きだす街で
あなたのこと忘れようとしても
止まらない

この頃いつも心だけが退屈で
時間をつないで毎日を埋めている
誰か隣りに居てよ 誰でもいい 本当はウソ
今は誰と居てもどんなに騒いでも ふと思いだし目をそらす
雨の音

通り雨の過ぎた夜 微かに冷ややかな街で
あなたのこと今でも待っていると 本当は知ってた
通り雨の過ぎた夜 気持ちは遠くなるけれど
あなたはまだ 心で生きている
そのままで

1998/8


●このときは本当に目の前で急に雨が降ってきて。急な雨にあたふたする通行人たち。それに対して、私のいる店の中はとても静か。ほんの一枚のガラスを隔てて、向こうとこっちでは世界が違うのです。普通では気づくことのない、日常の中にある隔り。それは以外と遠く深く感じるのです。